わたしのいいところは、
お客様にも、自分の仕事にも、必要最低限の責任しか感じていない
楽観的な考え方を持っているところだ。
必要最低限の責任とは、商品について誤った使い方をしてケガをしないよう説明をするとか、書類を読み手が読みやすく作成するとか、その程度のこと。
だから、後腐れすることもされることも余りないし、仮に誰かから恨みを買ってしまったとしても当人はあっけらかんとしている。
「あ、そう。」と。
そういうテキトーさが、社内外からウケていると気づいた時から少しだけ仕事が楽しくなった。
少なくとも自身の生産活動が、労働から仕事に替わった。
名古屋で初めて営業確約を取ったとき、お客さんから「アンタだから買うんだ」と言われたことが、始まりだったかもしれない。自分のサラリーマン人生のうま味を知ったのは。
先日、そのお客さんのご子息から「解約したい」と連絡をいただいた。
なんでも、お客さん自体はもう末期のガンで、余命宣告をされてしまったそうだ。
私はすぐに解約手続きに必要な書類を送り、お客様宛に手紙を添えた。
「あなたのおかげで私は、今もこの仕事を続けられています。」
テキトーなわたしが、そんな慣れないことをしたもんだから、後日会社にご子息から電話が掛かってきた。
「今朝亡くなりました。父は、あなたのことを本当に慕っていました。本当にありがとうございました。どうかお元気で。」と。
わたしは、特段会社に貢献しているわけでもないし、日々研鑽して仕事のスキルを磨いたりしているわけではない。
テキトーなので、テキトーにしているだけだ。
人間とは、人生とは、などと徳の高いこともあまりが興味ない。
ただ、唯一自分の仕事や人生についての「流儀」を挙げるなら、
人にされていいことと悪いことを考えろ
っていう至極シンプルな流儀がある。